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定家明月記私抄 正・続二巻揃 堀田善衛 新潮社

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定家明月記私抄 堀田善衛 新潮社 1986年2月20日初版 函 帯付 帯に微シワ 本体は天に1点のシミ(惜しいなー)あるほかはキレイな状態です 定家明月記私抄続篇 堀田善衛 新潮社 1988年3月10日初版 函 帯付 函に微ヨゴレ・微シミ 本体キレイです 二度目の入荷。上記、厳しめに表記しましたが、二巻とも函背ヤケもなく、本体元パラがないことを除けば、前回出したものとほぼ同等に良好な状態です。お値段は同じ。 ※ 藤原定家の日記「明月記」をベースにして、激動の時代を生きる「個人」の精神を描き出した、戦後日本文学・古典注釈文学における最高峰の一作です。この、「個人」の精神・・・というのが、中村眞一郎や福永武彦と共通する、私の最も好む文学的なスタンスでしてね。とりわけこの本で描かれた、中世文学や知識人の在り方を問う姿勢はもはや読者の好みだとか「趣味」のレベルを超えた至高の価値を持つもの。  「私抄」ですからね、単なる現代語訳や学術的な注釈ではありません、著者である堀田善衛が定家の内面に完全に同化して、独自の歴史観で読み解く「文学的批評」なんですよ。承久の乱など、王朝が崩壊していく「乱世」の時代に、定家がいかにして冷泉家を守り、文化の「正統」たる古典を後世に伝えようとしたか・・・その孤独な執念、「紅旗征戎、吾が事に非ず」。堀田善衛が経験した第二次世界大戦の戦中・戦後の混乱と、定家が生きた鎌倉初期の混乱が重ね合せられており、現代を生きる知性がこれを無視することなど、考えられません。  「続篇」では、定家が老境に入り、権力や家族との葛藤の渦中にあり、執念ともいえる古典保存の作業(「新古今和歌集」の選定や「源氏物語」の校訂など)に没頭する姿から、ひとりの芸術家が、老いと絶望のなかで「美」を確立させたようとする格闘が描かれています。  堀田善衛に定家の魂が宿ったのか・・・日本の古典が「死んだ過去のもの」ではなく、「現代に生きる我々の鏡」であることが、これほどまでに身に迫ってくる著作は稀なものです。この本を読んで学ぶべきことは中世史の知識ではありません、現代において「文化」や「記録」を守るとはどういうことか・・・という「問い」と、ひとつのこたえです。  ・・・だから私は古書店をやっている、とまで大風呂敷を広げるつもりはありませんがね(笑)。しかし、我が国独特の再販制度のおかげで、日本全国どこでも(輸送に手間も費用もかかる地方でも)同じ値段で本や雑誌が買えるわけですが、反面、日本中の(新刊)書店はいわゆる「金太郎飴」書店になってしまったわけです(どこへ行っても置いてある本は同じ、ということ)。対する読者も、「読者」ならぬ「消費者」となり、資本主義経済の法則に従って、書店も「消費者」を相手にする(重視する)ことでしか成り立たなくなってしまった。いや、ショーバイなんだから、生計を立てるためには、それでいいんです、仕方がないんです。でも、すべて(の書店)が、それでいいのか。お探しの本が当店にあれば幸いです。加えて、当店で、なにかそれまで知らなかった・関心を持っていなかった本が「発見」できたならば、店主としてはこれに勝る喜びはありません。(Ho)

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